世界選手権レポート②

2014年度キャスティングスポーツ世界選手権 第9種目銀メダリストの加登選手のレポートです。
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第39回2014キャスティング世界選手権Szamotuly大会に出場して
10月14日、JCSFのHPに小田切選手の世界戦レポートがアップされた!!
私は今回の世界選手権から帰国してからというものの、全くの「抜け殻状態」と言うか「燃え尽き症候群」にかかってしまい、何もする気になれずにいました。
2002年から世界選手権には何度となく参戦して来ましたが、ここまで「燃え尽き症候群」が続いた事は無かったし「それだけ歳をとってしまったのか…」と、少し落ち込んだ気持ちになったりもしたのですが、キャスティング仲間達と過ごす時間や小田切選手のレポートのアップがまた私に元気をくれた様です。
今年8月初旬、第10回JSCの大会が終わった直後だったと思いますが「JCSFからフルメンバーでの世界選手権出場OK」との情報が伝わって来ました!
主催国ポーランドのICSF理事の発言をきっかけに、ICSFの常任理事を含む理事の全員が「日本のキャスティングの将来を憂い、心配してくれて手を差し伸べてくれた」と言う事が分かり「行かなくてはいけない」「その気持ちに答えなければ」との思いで一杯になりました。と同時に、出発まで僅か1ヶ月弱、「本当に間に合うのだろうか?」「諸々の手配と準備」そして何よりも「全ての種目を仕上げる為の練習量」を確保できるのか、という気持ちもありました。8月は通常の仕事とは別にお盆の月でありその行事ごと、そして去年の10月から患っている坐骨神経痛への対処等々、不安だらけの決断でしたが、色々な人達のご厚意やサポートが有り、またチームメイトの岡本選手や小田切選手、そして小田切選手のご家族の方々のお陰でこの8月を乗り越え、世界選手権を迎えられたと思っています。
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今回のレポートでは、世界選手権の結果を元に、世界の強豪と私のまたは日本の競技力について、種目別にまとめました。
<EV1>
これはもう皆さんのご想像の通り、日本の競技者の中には世界のトップクラスに匹敵する実力者が多数存在しますし、一部には金メダルを狙える選手が存在します。日本のこの種目への取り組み方は間違ってはいなかったと確信出来ます。
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<EV2>
この種目は予選時の、メダリストやファイナリスト達が形勢する8名のトップグループの記録と、20位くらいまでのセカンドグループの記録に注目しました。まずセカンドグループの記録は、ほぼ60m前後に集中しているのに対し、トップグループの記録は、62mから69mと飛び抜けてしまっていることに加え、次長の記録も同等にそろえてくる選手が3名、残り5名の選手も60m前後、と軍を抜いています。
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この結果から何が推測出来るかと言うと、3名のトップ選手を除く、60m前後に集中したトップからセカンドグループの中の5名の選手が、うまく風のタイミングを捕まえてファイナル出場を決める事が出来たとのだろう、と思われますし、逆に言えばセカンドグループまでの選手達は、誰がファイナルに進出してもおかしく無かったと言えると思います。
そしてこの日のコンディションの試合で、私や岡本選手の記録が55mでしたから、日本のレベルと世界の一流選手達との差は「5m」と言う事が出来ると思います。
さあ、この5mの差をどの様に埋めて行くか、が、今後の課題と言えそうです。
<EV3>
やはりトップグループ・セカンドグループに分けて考えますと、100点ないし98点がトップグループであり、96点、94点がセカンドグループにあたる、と思われます。
ファイナル出場の条件とすればやはり98点以上、または総合種目を考えますと最低限96点以上は獲得しておきたい所ですが、この日の私の得点は残念ながら80点、各ステーションごとに、6点10点を繰り返すチキンハートを露呈してしまいました。
プラグアキュラシー全般での課題は、自分自身の集中力をコントロールする能力を身に付ける事。本当はこんな風にかしこまって問題提議付ける事自体が、不自然であって、何も考えずともロッドを持ったその瞬間から集中モードに入れれば良いんですけどね。やはりこれは「得手・不得手」と言うか、子供の頃から落ち着きと集中力の無さを指摘され続けた私にとっては高いハードルの様です。
<EV4>
この種目のレベルもEV1、3と同様、トップグループが100点セカンドグループが95点と言う的一つ外すか外さないかでファイナル進出が決まるハイレベルな種目です。この種目で獲得しておきたい点数はやはり総合種目を視野に入れれば95点ですが、この日の私の記録と言えば遠く及ばず80点、8種も同じ点数でした。EV3で書いた課題がのしかかって来ます。
<EV5>
ディスタンス種目ですので、EV2同様リザルトからこの日のコンディションを推測出来るかと思います。ファイナリストたちトップグループ8名が73mから75mで、セカンドグループを70m以上と設定すれば、25名の選手が5mの範囲の中で順位を競った事になりますので、トップグループがそれ程風に恵まれたと言う事は無かった筈です。私にとってこのEV5こそ一番得意な種目で有り何とか上位入賞を果たしたかったのですが、力及ばずセカンドグループにも入れず悔しい思いを残して来ました。
<EV6>
この種目には多少なりの手応えを感じる事が出来ました、トップグループを形勢するファイナリスト達8名の記録は72mから77mで、最長・次長共に飛び抜けたのは内3名であり、残り5名のセカンドの記録は70m前後で、セカンドグループを形勢する20位くらいまでの記録と同じだったのです、これに対し今回の私の記録は69mまで伸ばす事が出来、ようやく一流選手達の尻尾を捕まえる事が出来たかなと考えています。
<EV7>
私にとってこのEV7こそが鬼門で有り一番不得意とする種目です、飛距離を伸ばすとか伸ばせないとかと言う事の前に、コートに入れる事が私にとって非常に難しい技術なのです。今回も2ファールしてからのラスト1投でのコートインでしたのでホントに冷や汗を流しました、この種目は私にとって世界選手権で勝負するなどのレベルには到底達していませんので、一流選手達との比較などとはおこがましきこと、この上無い事ですのでご勘弁の程お願い致します。
<EV8>
小田切選手もレポートで書いていましたが、ここ数年で驚く程各国のレベルがUPしています、ひと昔前であれば85点でファイナル出場も可能でしたが、今は90点でも難しいレベルです。その中で今回岡本選手が高度な集中力と冷静さで95点を叩き出し、ファイナリストとして決勝を戦ってくれました、私はと言うとまだまだこのレベルには達していない様です。
<EV9>
何とかこの種目で皆さんの期待に応えられたかなとホッとしています。
しかしながらこの試合、終始「左から右」へ風が吹いており、右利きの選手はコートの右側へ投げなければ風の恩恵を貰えない状況でした。私は普段の練習からスイングスピードを上げながらも右へ投げる、言わばこの状況に対応できる技術に自信を持っていたのですが、予選そしてファイナルと、いざと言う時に習得したと思っていた技術を発揮出来なかった事を悔しく思っています。
まあ、仮に右へ投げる事が出来たとしても、トップを取ったColin選手の一投には及ばなかったのかも知れませんね。
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等々と種目別に振り返ってみましたが、私の最終目標である総合種目に上位入賞した選手たちは、全ての種目を確実にこなし、どの種目でも少なくともセカンドグループには入る堅実さを持っています。
ほとんどの選手が、子供の頃からこのキャスティングに慣れ親しんできたとは言え、どの様にして全ての種目に精通する術を身に付けて来たのか興味が尽きませんし、私のキャスティング冥想も深みに入る一方です。
長々と競技の事を書いてしまいましたが、忘れてはならない大事なもう一つの側面が、世界選手権開催にあたり、運営役員の方々、国際審判員やコートビルダーの方々、進行のサポートをしてくれるボランティアスタッフの方々のご尽力のお陰で、私たち選手がプレイできる事への感謝の気持ちだと思います。そして今回の世界選手権ほど、人と人の繋がりや感謝の気持ちを覚えた大会はありませんでした。JCSFのメンバーが今大会へ出場できるように、積極的に働きかけてくれたポーランドのJacek Kuza選手を始めとするICSFボードメンバー(理事)、先にも書きましたがユニフォームや帽子ペナント作成等、短い準備期間だったにもかかわらず、間に合う様に手配して下さいました小田切選手のご家族の皆さん、選手でありながらも旅程の手配や細かな交渉事、各国の方々とのコミュニケーションや、Facebook等を使って皆さんへの報告をほぼリアルタイムにしてくれていた岡本選手。「餅は餅屋」とは言いますが、できない自分にとってはやはり全てが感謝の対象です。
そしていつも思う事ですが、世界選手権の場は「善意の心」に対して「感謝の心」で、全員がつながる事ができる場所なんだ、と行く度に、その気持ちを強くして帰って来ます。そのためかは分かりませんが、空気までもが美味しく感じるんですよ、世界選手権の場は!
そしてそして、最後になってしまいましたが、世界選手権出場にあたり、サポートプログラムまでもを立ち上げて、多くの方々に呼びかけて下さいました、塩谷明絵さん・佐々木アキさんと、このサポートを通じてご支援頂きました皆さん。そして、全てのご協力頂きました皆さんに心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。
本当にありがとううございました。
加登眞二

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