”2017 ICSF World Cup 4th in Tokyo”
- 先日行われた2017年World Cup 第4戦東京大会のレポートです。今大会の立役者の一人、佐々木アキさんがまとめてくれました。
2017年-6月29日
むせかえる都会の匂いと照りつける日差しを背に降り立ったのは、東京下町、浅草。宿泊先のホテルを探すべくナビを片手に歩く。上野からタクシーに乗ったものの、運転手はどうやら”この辺り”というスポットで私を降ろしたのだ。しばらく彷徨い辿り着いたのは、如何にも外国人が好みそうな旅館スタイルの宿。チェックインを済ませ部屋で涼んでいると、廊下から何やら他国語の話し声。ドアを開けてみると見慣れない二人組の若者と目が合う。”人違いだ” 私はすぐにドアを閉めた。18:00「ちょっと遅れそう 店直で大丈夫?」岡本理事から新たなミッションが追加された。「頑張れアキちゃん」と付け加えられたそのメッセージに不安そうな岡本理事の心情を垣間見つつ、身仕度を急ぐ。
18:15 集合時間。ロビーに降りるがまだ誰もいないようだ。5分程して外に出てみると、先ほど人違いをした若者二人が買い物袋を下げ向こうの方から歩いてくる。何やら私を見て話しているが、どうせ「あいつ、さっき慌ててドア開けて2秒で閉めたクレイジージャパニーズピーポーじゃね?」とでも話しているのだろう。彼らはそのままホテルへ入って行った。
18:30 「Hi! Aki〜〜!!」ICSF副会長Helmutだ。続いてAlena、Karin、再会の挨拶を交わしていると… 更にドアが開き先ほどの若者二人組が現れた。
「Hey! Aki〜!」 …!?
ひととおりの会話を済ませ把握できたのは若者二人のうちひとりはAlenaの息子Christian、もうひとりはスイスのジュニア選手Seya15才、Seyaは母親が日本人で、カタコトの日本語が話せることと、それらは全て関西弁だということ。ひとまず店に向かおう、Kenjiは遅れているので店に直接来る、を伝えナビを頼りにホテルを出発。18:40 目的の店に到着、岡本理事と合流しホッ。
炉端焼き料理の、日本文化が詰め込まれた店構えの其処は、2001年ワールドゲームズ秋田大会の際にも岡本理事とHelmutらが訪れた店だと聞いた。それは何とも感慨深く、今日の日に同席できたことを嬉しく思った。その後一行は浅草の夜を堪能し、朝日が昇っても乾杯を繰り返すのだが、ひとつ言っておきたいのは、岡本理事は2件目を出るところで「僕は帰るのでAkiを置いていくね!」と流暢な英語で生贄交渉をし、去って行った。私はその後、乏しい英会話とSeyaの関西弁を駆使し何とか翌日のチェックアウトまでに海外勢をホテルへとアテンドするのであった。
6月30日
この日のミッションは昨夜の一行を引き連れ”浅草で昼食”、”電車で千葉入り/ホテルチェックイン”、”前日練習のため会場入り”だ。私は昨夜突如として降りかかったフリースタイルミッションからすると、そのどれもに余裕さえ感じた。
その後、日本勢との対面までのアテンドを無事終えたところで、序章終了。ここから先は大会報告として前日練習、大会、表彰式の様子をご報告いたします。
著者 佐々木 アキ
-大会前日
国内選手らが各地から千葉入り。JCSF公式練習会、午後からはスイス・オーストリアチーム(※序章参照)も到着し会場入り。世界トップ女子選手Alenaが、息子であり世界トップクラス選手のChristianとジュニア選手Seyaに指導をする姿は貴重な光景でした。また、佐々木選手と斎藤選手がChristianに4種の勝負を挑むといった和気藹々の一コマや、2種の練習をしているChristianの横から佐々木選手が「オレもいっしょに振っていい?」と、沈黙の投げ合いを続ける緊迫ムードも国際大会の練習会ならではの体験だったことでしょう。
夜の会食ではスロバキアチームも到着し、自国土産の交換や4ヶ国語の飛び交う賑やかな時間。弾む気持ちは万国共通で、二次会は日本チームが滞在する隣の旅館へ海外勢を招待。Petraの旅行土産をワインで乾杯、スロバキアチーム全員に浴衣を着せる小田切選手、”スモーキングチーム”と称してRastislav率いる日本勢喫煙チームが隣の部屋で何やら密談。久しぶりや初めましてはあっという間に国境を越えて、キャスティングスポーツを愛する者として既に”仲間”であることを映し出す夜でした。
7月1日-大会当日
コート設営やその他準備のため、早朝から国内選手と今大会の強力なサポーターの方々に集まっていただき開幕した”2017 ICSF World Cup in Tokyo”。
心配していた天候は時折強まる終日の雨と不定期な風。万全のコンディションとはいかず、其々に苦戦した種目があったのではないでしょうか。そんな不安を掻き消すように櫻井選手が圧巻のタイム、パーフェクトで第1種フライ正確度1位を獲得、2位に小田切選手。続く第3種スピニング正確度アレンバーグでは佐々木選手が1位のChristianと98pで同点、タイム差により2位入賞。第4種スピニング正確度はスロバキアチームに食い込んだ斎藤選手、85pで3位入賞。遠投に移り第2種フライ片手投げ距離は先日の国内大会にて70mを打ち出した濱野選手が1st、2nd共に2位と2m以上の差をつけ堂々の1位、そして3位は河上選手が獲得!
残念ながら第5種スピニング片手投げ距離と5種目総合ではスロバキア・オーストリアチームに食い込むことが出来なかったものの、今大会多くの国内選手が入賞を果たしてくれました。一方、女子クラスでは女王Alenaの2種は圧巻、なんとかスロバキアのMiskaを抑え日の丸を2位に掲げたものの、総合ではアキュラシー種目の結果が振るわず沢山の課題を持ち帰ってきました。
表彰式・バンケット
大会が無事終了し、ホテルでは一足先に表彰式とバンケットの準備を進めておりました。今回のWorld Cup日本戦としての制作グッズは、Tシャツと記念品の扇子、そしてメダル/トロフィーを”だるま”(前回のWC東京は”絵馬”でしたね!)に。これらのデザインは全て、佐藤昌己さんにご協力頂きました。女子だるまには昌己さんの手仕事により一体一体紅をさしており、大変拘った作品になっています。
受賞者の皆さまにお渡しするだるまは全て片目です。もう片方はご自身で入れていただく形になっています。今回悔いの残った方は是非、目標が達成された際に目を入れてみてください。
さて、加登事務局長による乾杯の挨拶とともにスタートしたバンケット、その後間も無く表彰式が始まります。他国選手同士がお互いを讃え合い、笑い、喜び、悔しさを胸に。グラスを交わし、言葉が通じなくても居心地の良い空間、各テーブルでの笑い声、この夜ここに集った全ての者たちが様々な思いを胸に、しかし誰もが満たされたその表情で、過ぎる時間を惜しむように再び称え合う。
そこには年齢、性別、国籍、言語、そのどれをも超えた”時”を共有する同士たちの姿がありました。
そしてこの日、当日の強力なサポートを頂いた小林幸男さん、田中徹さん、稲葉栄さん、後藤大さん、総合優勝者への贈呈品としてバンブーロッドを提供くださったビルダーの大森源一さんへ、ICSFから表彰状の授与がありました。更に今大会の裏方で大変お世話頂いたのが櫻井明美さん、見学に来ていたにもかかわらず急遽お手伝いをかって出てくださった房前武明さん。日本のキャスティング界(プレイヤー、サポーター、連盟)は海外に比べ断然小規模であり、今回ご協力頂いたサポーターの方々が1人でも欠けていれば、この日の成功は成し得なかったと思っております。また、JCSFは連盟としてまだまだ立ち上がったばかりであり、そのため今大会もJSC、CCCの皆さまのご協力・ご提供、更に選手という立場でコート設営から撤収、審判・計測等、運営に携わりご協力頂きましたこと、”2017 ICSF World Cup 4th in Tokyo”、大変心強く有り難いご協力の上で2回目の日本開催が実現出来たことを、この場をお借りし改めて、関係者の皆様へ心よりお礼申し上げます。
楽しいひと時、バンケットの2時間はあっという間でした。なんとこの日、スロバキアチームは帰りの便を控え日本滞在約24時間という驚異の弾丸参戦、名残惜しくもここでお別れ。その後スイス・オーストリアチームを前日同様日本チーム滞在旅館へ招き、大宴会の夜は目まぐるしくもゆっくりと、その幕を閉じました。
これにてWC2017の報告は終了いたしますが、この日刻んだ感動を、今日まで流した汗を、飲み込んだ涙をどうか忘れずに、あの夜に笑い合い称え合った同士たちと再び、競い合う日まで。
Let’s Casting!!
おわりに
このような機会を与えてくださったICSFに敬意を表すると共に、心より感謝いたします。
Thanks to the people who helped with the preparation, to the people who provided their cooperation, to the players who came to Japan, to the friends who gathered, we were able to once again hold the World Cup in Japan. I would like to thank all of the people involved, and the ICSF for giving this wonderful opportunity to Japan.
大会結果
2017 ICSF World Cup 4th in Tokyo Result