EV7スピニング両手投げ距離種目
ある意味日本のお家芸ともいえる種目が、スピニング両手投げ距離種目です。サーフキャスティング種目に親しいところから、この種目にだけ参加する選手も少なくありません。
ガイドは「大口径ガイド」が今でも主流
この種目の道具も様々です。特にガイドについては、今の釣り用のロッドについているガイドとは、全く異なる考え方をしています。富士工業のSiCガイドが主流となっている日本では、小径背高と呼ばれる、小さい口径でガイドの背が高いもの、が、サーフロッドには取り付けられています。しかし、海外の殆どの選手は、未だに口径の大きなガイドをつけているのです。
18gのプラグは5号相当なのに”25号以上”の投げ竿を使う?
使うロッドは、今では日本やスペイン、UKのサーフキャスティング用のロッドが使われるようになりましたが、どちらかというとカープフィッシング用のロッドを使う選手を多く見かけます。カープ用では5ポンド以上の硬さのものが多いようです。スポッドを使うロッドでしょうか。日本のサーフキャスティング用のロッドでは、29号用や31号用、などロッドを使う選手も少なくありません。本来であれば、18gというプラグの重さは5号相当です。もっと柔らかめのロッドでも、と思うところですが、100mを狙うとなると、それなりの反発が必要になるため、どうしても硬めのロッドが必要になります。硬めのロッド、柔らかめのロッド、いずれの場合も、曲げられる部分を上手く曲げて、その反発で飛ばすのが飛距離を稼ぐコツですので、硬めのティップアクションのロッドならば先の方をきれいに曲げてやり、ロッド全体が曲がるようなロッドの場合はバット側からきれいに曲げて、18gのプラグで曲げられるだけのパワーを生み出してプラグを弾き飛ばすのです。
サーフキャスティング用のリールが主流
使うリールは、今ならば投釣り用の遠投専用リールです。メーカー市販品のスプールは練習用としつつ、競技ではよりきつい角度のついた専用スプールを使います。メーカー製スプールが6度までなのに対して、単体で販売されているスプールは10度までの角度が付けられています。もちろん、その分ラインが出過ぎるというトラブルを起こす可能性も高くなりますが、より遠くに飛ばしたいという気持ちと一投にかける思いから、全部で3投する競技のうち、最初の投てきで記録を作った後なら間違いなく、10度のスプールに付け替えて残りの投てきに備えるのです。
先達たちの工夫の足跡
今でこそ日本ではこのようなスプールを簡単に入手することができますが、海外の場合はというと、これまたいろいろなタイプのリールが使われてきました。Googleで試しに「mitchell tournament reel」で検索してみたら、このような画像が出てきました。スプールの全長を長くするため2段にしつつ、それに合わせてベールアームも2段にしてロングノーズタイプに改造しているリールが使われていました。
釣りキチ三平の15巻「シロギスの涙」121ページで、シャークの仁の父・鮫島仁一郎が使っているものも、このタイプかと思われます。スプールの改造は、ロングノーズにするだけでなく、ベールアームではなく手でスプールを回して、最近のルアーフィッシング用の市販のラインのように、きれいにスプールに巻いていくようなスプールもあります。もちろん試合のときしか使いませんが、慣れていないと糸の出が良すぎて投げる準備をするまででもトラブルを起こす、ということもあったりします。
V字コート
前方100mの地点で左右50mの幅のV字コートを用いて、競技は行われます。合計3投して最長飛距離を競います。風速は現在は投てき毎に5分間計測した平均風速を、その投てき順全体に適用していますが、世界選手権等で用いられている瞬間風速計測方式に順次対応していきます。ラインは直径0.25mm以上で、0.35mm以上の太さのショックリーダーを付けなければなりません。またショックリーダーの色は、明るい色で透明ではいけない、というルールになっています。2012年の世界選手権エストニア大会のときに「黒は明るい色かどうか」ということで、揉めたことがあり(そのときは明るい色ではないと判断)、2015年の総会の時にルールブック改正の際、黒色のショックリーダーも認める、という一文がくわえられました。ドイツの選手が使っている黒のラインが、どうやら強いようです。
まずは投げてみて下さい
この種目は日本のサーフキャスティング用の道具をつかって、すぐに始められる種目です。投釣り用の道具があれば、まずは一度挑戦してみてください。お持ちの道具が30号指定以上でも、18gのプラグの重さしかなくても案外曲がってくれることを実感できるでしょう。反対にカープフィッシングの道具しか無い場合でも、リールのラインを0,25mmに巻き替えていただいて、まずは一回投げてみて下さい。「こんなにロッド、柔らかかったの?」と実感できると思います。手持ちの道具でまずは18gのプラグを投げてみる、のはいかがでしょうか?プラグの購入については、事務局までお問い合わせ下さい。