世界選手権2013 公式練習日&ICSF総会

「Halleの天候は、曇時々雨…」

ぱっとしない天気予報が続く公式プログラム初日の2013年9月11日。いよいよ各国からの強者たちが会場に集まってきました。気温ひとつ比べてみても、出発前の日本とどれだけの差があるか…。半袖短パンなんかじゃ、とても過ごせない気温は摂氏17度! そこにしとしとと降り続く雨が加わると、体感温度はもっと下回るでしょう。得意種目のベイトリールを使った遠投種目でのオイルの選び方は、日本で練習していたときとは全く違うといっても過言ではありません。ましてや「雨」。なかなか一筋縄ではいきません。
そんなコンディションの中でも、調整に余念がない村山さん。ディフェンディングチャンピオンとして張り切っています。同じくスペインのVicentも連覇を狙っているのでしょう。去年以上に厚くなった胸板を携えて、果敢にも練習中から挑戦を挑んでいたようです。村山さんの感想としては「ここに集まる顔ぶれだったら、誰が勝ってもおかしくない。そういうレベルが、やっぱり揃っている。でも、負ける気はしない」と、状況を冷静に判断していました。二度目の参戦、という余裕と、選手たちの顔と名前が一致しているからこその分析でしょう。
さて、このレポートを書いている当の本人は、というと、実はまだ会場には一歩も足を踏み入れておりません。ホテルに缶詰になって『ICSFの役員会』『全体会議』及び『総会』と、3つの会議に出席してきました。各国からの意見陳述、それに関する討議、キャスティングスポーツの未来として目指す方向性、等が、2日間の長きに渡って話し合われてきました。
ICSFの考え方の根幹にあるのは『1種から9種までの種目の大会の開催』です。これらの種目の大会運営を軸にして、ジュニアの育成、シニア大会の運営のポリシーなどについて、各国から事前に出された提案に対する討議・決議が判断されます。それぞれが自分の意見をもって、国を代表して決議に対して一票を投じるのです。今後のルールの変更についても討議されています。フライラインに関するルールの変更が討議されています。どのように運営していくか、スケジュールについては今後発表を待ちたいと思いますが、今回の大会では適用されませんが、きっと安心する選手もいたことでしょう。
「ふぅ〜ん、そんなことしてるんだ」というようなことをしてる人、中にはいるらしいことを聞き、驚いた次第。ルールブックの文言が整ったところで正式発表されることになっていますので、まずは心の準備をしておいて下さい。今のラインが変わる、ということではありません。長さと重さの規定について変更されることになっています。
2日間の会議を通して深く感じたことは、『キャスティング』という競技をどうすればもっと活性化できるのか、ということを、それぞれの立場からみんなが「真剣に」考えている、ということでした。もちろん、互いに意見が食い違うことも少なくはありません。ICSFの運営体制は、役員会を中心としつつも、互いの意見を出しあうことで、各国からの代表が集まって話し合われる本当の意味での総会の場で導き出される方向性に対し、各国の選手たちが戸惑うこと無く合議の上で進めていく体制が、当たり前ですが、きっちりと整っていました。


会議終了後、ホテルのエレベーターで事務局長のJosefと一緒になりました。この2日間の会議のために要した準備の時間は計り知れないでしょう。相当疲れた顔をしていたことに間違いはありませんが、成し遂げた満足感も同じく感じることができました。心から感謝の意を評したいと思います。
Helmutは今回はサポートに回っていた感がありますが、今後は副会長として活躍することになるでしょうから、次は大変だと思います。食事までの間のひととき、「一杯やるか?」と誘われて呑んだビールは、うまかったです。
会長のKurtはまだまだ緊張感を緩めることはできないでしょう。何しろもう一つの本番、世界選手権が待ち構えていますのですから。でもやっぱり、会議室のテーブルにいたときの表情とは違い、口元がゆるんでいます。先ほどまでの険しい表情ではありません。
選手としても今回登録しているJacekやThorgeir(今回は『選手登録』なのです、Thorgeir!)は、練習の時間がなくなることを承知で会議に参加していました。夕食までビールで時間を潰した我々とは違ってすぐに会場を離れていたのは、フィールドに向かったのでしょう。そう、誰も皆、自らの貴重な時間を割いて、会議に参加しているのです。
ICSFの役員としてこの会議に参加し、ICSFの進むべき方向性の討議に参加し、その指針を共有できたことは、今後のあり方にとって大きな一助となる、と確信することができた、非常に有意義な2日間だったと言えます。
ICSFに選ばれて仰せつかったBoard Memberという役職。何故自分が選ばれたのか、そしてその期待に応えるためには、どうするべきなのか、をしっかりと見極めつつ、まずはもう一つの役割『International Judge』として、今日からの大会運営に携わってきたいと思います。
いよいよ大会初日です。天気予報では、曇とのこと。窓から見える街灯の下の水たまりには、雨粒の波紋がちらほらと見受けられます。波乱の大会初日となるのか。日本人選手たちの活躍は、果たして。
以下、続く…
 

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