スピニング正確度種目のススメ その1
ヨーロッパで活躍中のほとんどの選手が最初に手にしたのが、スピニング正確度種目用のロッドとリール。では、どのようなタックルが実際に使われているのでしょう?
釣り用の道具?専用の道具?
初心者が最初に手にする道具の1つとして、量販店の店頭に、リールとセットで2000円くらいで仕掛け付きで売られている道具があります。ご存知ですか? 耐久性はともかく、キャスティングというスポーツの、スピニング正確度種目で競技に出場しようとするならば、その道具をそのまま使っても大丈夫です。慣れてしまえばそれこそポンポン当てられる道具だったりするのです。
ちょっと高級品になると、一昔前であれば、ブラックバス釣りの入門用として売られていたスピニングリールが付いたセットも、なかなかのものでした。それらの中古品を数多く入手して、いろいろとテストしたことがありますが、どれもこれも侮れません。実はスピニングリール用に使うよりも、8種マルチプライヤー正確度種目用に改造して使ったりしているものもあったりして、それを見つけるのも楽しかったりするのです。
というように、乱暴な言い方をすると、どれを使ってもいい、のですが、初心者にとっては一番困るのが、この一言だったりしますよね。家庭でもお母さんが「今日の夕飯、何がいい?」と聞いたら子どもたちは気を遣って「なんでもいいよ」とか、または「美味しいものならなんでもいい」なんて、逆にハードルが上がって返ってきたりするようなものです。「どんなロッドでもいいんですよ」だったり「どのロッドが一番当てられますか」が、難しいのです。
なので、ここでは具体的な商品名は出しませんが、具体的に選びやすいスペックを、まとめてみることにします。ご参考にしていただけたら幸いです。
釣りでも使えるオーバーヘッドキャストで競技をする場合のロッドの目安
全長150cm〜180cm 5フィートから6フィート
ライトアクションまたはミディアムアクション(メーカーによって硬さが違うので、あくまでも目安です)
10gのルアーが投げられる表記があれば、充分です。ちょっと強めで張りがある方が向いています。逆にトラウト用のベナペナしたロッドは投げにくいです。180cmのチョイ投げ用でもいい、というのを目安にして下さい。
リールの目安
ダイワ・シマノ共に1000〜2000番クラス。目安なので、両方のメーカーで同じ型番です。実際にはシマノの場合、1000番が普通です。ダイワは軽い割にはスプールが大きいので、2500とかを使う選手もいます。ミッチェルなら308とか408。カージナルなら33とか3(オールド世代向け解説)。
ラインの目安
4ポンドとか1.5号とか0.20mmとか、それくらいの太さのナイロンライン、できたら蛍光色。1号だと細すぎて、ちょっと不安です。陸上なので、地面とのコスレで簡単に切れます。2号だと、ちょっと太いようにも思えます。横風のときは、細いほうが流されにくいのは間違いありません。なので、間をとって1.5号をオススメします。
プラグ
JCSF公式7.5gのキャスティング専用プラグ
競技専用の場合は、ロッドだけが下記のスペックに変わります
競技専用ペンデュラムキャスト用のロッドの目安
全長137cm〜145cm程度。137cmより短いとルール違反となるので注意。グリップの長さもロッドの1/4以上になってはいけない、というルールがあります。自作の場合は、グリップの長さにもご注意下さい。短いだけ? いやいや、実は硬さが、めっちゃ硬いんです。どれくらい硬いかというと、言葉で言うのは難しいのですが、バスロッドでいうならば、ベイトロッド用のミディアムハードアクションのロッドを先端から140cmのところで切って使う、くらいの硬さ、とか、あるいは、ミディアムライトのスピニングロッドの先端が10〜20㎝くらい折れてしまったブランクと同じくらいの硬さ、とか。あるいは、古いグラスロッドの投げ竿で、360cmの中古品の先端部分をこの種目用のロッドに流用する(長さが足りない場合は、硬いロッドは先端にソリッドを10㎝足してみたり、柔らかかったら真ん中のセクションの先端部分をグリップ部分として活用して調整する)とかいうこともできたりするのです。
ここの3本のうち、一番下に写っている先端部分のみを使います
このような感じで組み上げます。先端部分はソリッドカーボンを10cm強、足しています。長さを調整するための目的でもあり、チューブラの先端部分を曲げる役割もあります。差し込んだ部分への補強巻はわすれてはなりません。先端部分以外の活用方法として、投げ竿のリールシート部分のブランクを20cm程度にカットして、そのパイプをグリップとして取り付ける、という方法もあります。上のブランクの金色の部分は、マスキングテープで太さを調整して、そのパイプを着けられるようにしているものです。釣りではないので、こういう加工でも充分使えてしまうのが、便利なところです。ちなみにガイドラッピングのバーニッシュも、ヘラがついた瞬間接着剤をつかっています。
実際にヨーロッパ諸国では、どのようなロッドが使われているのか、専用の市販品などはあるのだろうか、につきましては、次号にて。